[特集: Do you Know ’Joban fish’?] Ep04.福島県いわき市の漁業、海産物の現状と安全性

東北 観光 2050.09.23
漁業を始めとした海のある暮らしは、福島県いわき市の文化に深く根付いており、海辺の町の生活に特色をもたらしています。

いわきの魚

いわき市には、恐竜や炭鉱、さらにはフラダンスまで、興味深い歴史がありますが、福島沖で出会う暖流・寒流が交わる海流のおかげで、いわきの生活は常に海や魚と結びついています。地元の海域で獲れる「常磐もの」と呼ばれる魚は、普段の家族の夕食から高級料理の珍味など幅広く食べられています。2011年3月の東日本大震災によって、いわきの魚介類の扱い方は大きく変化しました。厳しくなる制限の中、安全を証明する試験を次々に取り入れるなど、いわきの漁業は海とのつながりを断ち切ることはありませんでした。

福島の海の生き物に興味のある旅行者は、漁船に乗る前の海洋生物がどのように見えるかを知りたいと思っているかもしれません。幸い、アクアマリンふくしまはそれらを知るのに完璧な場所です!いわき漁業の奥深さに触れる前の第一歩として、JAPANKURUチームは水族館に立ち寄り、ふくしまの海の生き物を観察しました。
  • アクアマリンふくしま

アクアマリンふくしまは、大規模な施設の中で自然環境を再現し、来場者に「海を通して人と地球の未来を考える」について、教えることを目指しています。特に注目すべきは、福島の海を紹介するエリアです。「福島沖の海」についての説明や小さな水槽では、この海域の象徴的な生き物をいくつか展示しています。それだけでなく、巨大な水槽が現われたと思うと、そこには、逆V字をしたユニークな形をしたトンネルが見えてきます。この福島沖の親潮と黒潮の海流が出会うところを簡単にイメージできるようになっており、トンネルを歩くと「潮目」の合流点を表す空間にいることに気づきます。水槽の両側は異なる海の生息地を表しています。
  • 歩ける潮目の水槽

福島の漁港

水族館は美しかったですが、魚はいわきの観光のためだけに存在するのではありません。いわきの漁業は海岸沿いの主要な生活基盤であり、地域社会に仕事を与え、全国に海の幸を提供しています。この地域の海産物は常磐ものと呼ばれ、日本を代表する豊洲市場(旧:築地市場)において、高値で取引きされるブランド魚であり、何十年もの間、日本中の料理人や家庭の味としても愛されていました。常磐ものが獲れる福島沖は、誰もが口をそろえて、高品質な魚が獲れる豊富な漁場だったと言います。

しかし、2011年の東北地方太平洋沖地震と津波は、漁業を初め、福島に多くの変化をもたらしました。常磐ものの素晴らしさを知った後、JAPANKURUチームはそれらを深く広く伝えるための学びを決心しました。いわきの魚市場やあらゆる種類の検査所を回り、安全性のチェックと実用性に関し学びましたが、その前に、そもそもなぜいわきが漁業を誇りに思っているのかについて知ることができました。
  • 災害後の福島

2011年3月の出来事について、ほとんどの人が知っていることでしょう。大地震と津波が福島を襲い、多くの住民の命を奪い、その過程で真の破壊が起こってしまったことを。近隣の人々は一掃され、福島という名称は、心配の声と共に世界中で繰り返し発信されました。それだけでなく、この災害によって放たれた放射性物質を懸念し、福島で生産された食品は食べるのが危険という風評被害も広まりました。未だに、福島という名前を聞き、目にするだけで、海外の人は漠然とした懸念を抱くことは容易に想像ができます。

福島の漁業関係者を初め、農業関係者は、元の信頼を回復するために、様々な取組みを懸命に行っていること、設定されている安全基準よりもさらに高い安全基準に取り組んでいることを、福島から遠く離れた世界の人は、気づいていません。地元福島の海洋研究センターでは、福島の漁港と漁場の放射線レベルは、地震の直後と比べてかなりのレベルで下がったという多くの証拠を持っていますが、いわきでは、まだ安全チェックを軽視していません。海水や海底のモニタリング、近くで漁獲された魚の放射線チェックまで、あらゆる種類のいわきの漁は毎日検査され分析されています。彼らは人々に、安全性を数字でを見てもらいたいのです!

いわきの魚市場の日常

  • 沼ノ内魚市場

いわきの漁師たちは早朝に出勤し、外洋に浮かぶ小さな漁船で夜明けまで過ごします。海底をすくい取るトロール網で捕らえられる魚もいれば、垂直刺網を使って捕まえられる魚もあり、どの船も時間内に港に戻り、平均的なサラリーマンにとってまだ早い時間に仕分けをして販売します。いわきの沼ノ内魚市場では、朝8時30分に販売がスタートし、卸売りの入札者が紙に値段をつけて、新鮮な魚の箱の上に投げていきます。
  • 実際に魚を販売する様子

  • 検査の為に送り出す魚の選択

再建したとはいえ、地震前の約1/3の可動力で操業しているのだそうです。約1/3とは言え、市場の敷地全体に、一般的な魚から高級魚、珍しい魚介類まで、数十種類の新鮮な魚介類が積み上げられていました。地元の漁師によると、カツオの数は水温の上昇により減少してしまったそうですが、大きなバケツやトレイの中には、小さな魚やヒラメ、イセエビ、独特の縞模様の魚など、たくさんの種類の魚介類が見られました。

すべての魚を販売する前に、安全チェックが何よりも優先されます。検査所は、沼ノ内漁港の南にある小名浜魚市場の中にあります。いわき市には複数の魚の卸売り市場が点在しており、漁船が戻ると、それぞれの魚市場が朝一番に連絡を取り、港に持ち込まれたすべての種類の魚をスクリーニング検査にかけます。魚が1匹しか釣れないという珍しい場合でも、市場で販売するのではなく、安全性を重視して検査のために1匹の魚を送り出さなければなりません。そして最近のテストでは低い放射線レベルが示されていますが、まれに通常より少し高い数値の魚がいた場合、魚はすぐにリコールされ、さらなる検査が行われます。
  • 小名浜魚市場

午前中のうちに、激しい海に出て、長い一日を終える多くの漁師、魚市場の関係者は、帰り仕度する頃には当然のことながら疲れ果てているように見えましたが、彼らの仕事について尋ねると、彼らは元気に応えてくれました。「東京を代表する魚市場「豊洲市場(旧:築地市場)」では、常磐ものの品質は最高だといつも言われています」「特にアナゴ、ヒラメ、カツオ、そしてもちろんカツオ」。と、太陽の当たる海でかなりの日数を過ごしてきた男、いわき市漁業協同組合  鈴木 三則 副組合長は語ります。2011年の東北地方太平洋沖地震以降、多くの変化があり、震災直後は大変な苦労があったとのことですが、「最近は、その場ですべての魚を注意深くモニタリングしているので、日本でこれほど安全な魚介類を見つけることはできないだろう」と付け加えた。鈴木氏は、放射線検査は別として、地元の漁業協会がこの再成長の時期をあらゆる種類の慣行を改善し、地元の漁業を持続可能に保つ機会として利用することを決意したそう。今後の目標としては、漁獲量が上がっていった時に、環境とのバランスを維持していくことだそうです。そして最後に、鈴木氏は「常磐ものは本当に素晴らしい魚だと思います。私たちは一般の方に提供する前に、その品質と安全性を確保するために、たくさんの努力をしています」「安心して福島の魚をぜひお試しください!」と上機嫌に締めくくりました。
  • テストのための魚の準備

いわきの料理

  • 居酒屋「酒縁てる」の常磐もの料理

一日、いわきの常磐ものを学び、食べる心の準備ができたので、JAPANKURUチームは地元いわきの海産物を使った料理を提供する「酒縁てる」という小さな居酒屋に向かい、福島で醸造された日本酒のコレクションと組み合わせていただきました。当日のメニューは料理長のお任せで、あらゆる手法で調理された様々な郷土料理をいただきました。新鮮な刺身からスタートし、繊細に薄くスライスしたひらめには、菊の花が添えられ、わさび、すだち、そして、芳香醤油、マトウダイには味噌など、さまざまな薬味が添えられていました。メヒカリは実はいわきのオフィシャルフィッシュということなので、いろいろな料理で試せることにワクワクしました。丸ごと上げた一夜干しは、旨味が濃縮されていました。お茶漬けのご飯の上に乗せるとさらに美味しくなりました。地元産のあなごを使った煮あなごは、甘くて香ばしいスープで煮込むことで、身そのものの甘さが引き出されていました。あんこうの皮は独特の食感をしており、その食感を活かした「あんこうの共酢和え」は、まったく新しい口当たりの料理に仕上がっていました。いわき料理の良い宴でした。

ヒラメの刺身

  • メヒカリの一夜干し

オーシャンビューの町

  • 夕暮れのいわき

いわきに隣接する長い海岸線は、確かに町々に問題をもたらしましたが、一方で、漁業というビジネス、おいしい料理、そして美しい景色を与えてくれます。明るい漁師が船を操縦し魚を積んで港に戻り、市場で販売するために、試験施設のスタッフがサンプルを準備し、すべての魚が安全に食べられることを確認するために、データを注意深くグラフ化することで、いわきの市民は、漁業の存続に努め、常磐ものへの愛情をできる限りの人と共有しています。

福島の海産物の詳細、および福島の海洋モニタリングと海産物のテストの詳細については、近日公開される常磐ものの記事をぜひご覧ください!
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